オーストラリア・シドニーの友達から、深夜（こっちは昼間だけど）LINEが届いた。
「ねえ、『用武之地』って映画、もう予告編出てるよね？肖央と斉溪が主演でしょ。めっちゃ見たいんだけど、こっちの動画サイトで検索しても『この地域ではご視聴いただけません』って出るんだよね…またかよ、って感じ」
彼女の文字から、ため息が聞こえてきそうだった。彼女は駐在員で、夫は現地の病院で働く医師。自分たちと少し状況が似ているからか、この『用武之地』のストーリー——駐在記者とボランティア医師の夫婦が帰国途中に拉致される——に、妙に引き込まれると言う。
「予告編のスクリーンショット、送るね」と彼女が送ってきた画像を開くと、確かに肖央の手首にはくっきりとした赤い痕、斉溪の顔には乾ききらない血の跡。IMAX特製撮影というだけあって、その緊迫感が、スマホの小さな画面を通しても、じわりと伝わってくる。
「105日間の自力脱出…」と記事を読みながら、ふと、去年のことを思い出した。実家の母が「あのドラマ、面白いよ！」と勧めてくれたのに、VPNが不安定で、ちょうど佳境の回がカクカクとしか再生できず、結局ネタバレサイトであらすじを読んだ、という情けない経験。
海外に住んでいると、こういう「文化の壁」にぶつかることは本当に多い。大好きな歌手のライブ配信が見られない、実家の家族が盛り上がっているバラエティ番組に参加できない。SNSで「#用武之地二輪点映開始」のタグがトレンド入りしているのを見て、日本にいる自分でさえ、「あ、先行上映か…でも見に行けないや」と、ちょっとした距離感を感じてしまう。
友達は続けて言った。「この映画、実在の生存者の体験が元になってるんだって。『手無寸鉄の普通の人間』っていう設定が、すごくリアルで怖いよね。自分たちも、もしあの状況に置かれたら…って考えちゃう」
確かに。ニュースでは「海外で邦人が」という見出しを時折目にするが、それが具体的にどんな恐怖と絶望の中での、知恵と体力を絞った105日間なのか。寧浩監修、申奥監督という布陣が描き出すそのリアリティを、現地と同時刻に、あるいはせめてスムーズに味わいたい。それが、地理的距離を感じる海外生活者にとって、一種の“文化的な帰郷”みたいなものなのかもしれない。
「とにかく、12月31日の本公開まで待てないから、何とかして先行上映の情報とか、予告編くらいは見たいんだよね」と友達。彼女のその切実な“見たい”という気持ち、すごく分かる。同じ時間を共有したい、というのは、娯楽を超えた、どこか人間的な欲求だ。
さて、こんな風に「見たいのに見られない」ともどかしい思いをしている海外在住の友達は、彼女だけじゃないはず。あなたも、中国の映画やドラマ、音楽をスムーズに楽しむ方法について、何かいい知恵や体験、持っていませんか？コメント欄で教えてくれると、彼女のような困っている友達の助けになるかもしれません！
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